ミニばら盆栽の育て方
置き場所について
- 家の中の日の当たる場所が良いでしょう。
- 苔が張ってあるため、日が直接当たると苔が弱ってしまうので、必ず太陽光を遮光してください。(レースのカーテンや50%カットの遮光ネットなど。)
- 植物は自らの足で動くことはありません。急激な環境の変化は植物にとってストレスになるので、置く場所はなるべく動かさない方が良いでしょう。
- 気候の良い日は窓を開け、風通しを良くしてください。
- 野外には出さない方が良いでしょう。強烈な日差し、風、寒さ、病害虫などで弱まります。
- 室温が温かい場合は落葉せずお楽しみ頂けますが、室温が5度以下になる場合は一時的に落葉し冬眠期に入ります。
- ばらの生育に適した温度は25度前後です。
水やりについて
- 根の気持ちになって考えましょう。根の周りがいつも水分に満たされていると、このままの状態でいいなと言うことになります。つまり、根は伸びません。ところが根の周りが乾いてくると根は水分を求めて伸び、このサイクルを繰り返すことで根が多く育ちます。これが根の成長です。
- 根が元気になれば葉が茂り、光合成が活発になり、花が沢山咲きます。
- 全体の葉の色が黄色や茶色(古くなった葉は黄色や茶色なりますが、これは自然現象なので問題ありません。)あるいは瑞々しさが無いなど、変化した時は根の異常が考えられます。鉢から抜いて根の状態をチェックしてください。
- 健康な状態は白い根ですが、軽度な根腐れ状態は茶色い根です。悪化した場合は根が溶けてありません。根腐れしてしまうと水や栄養素を吸い上げる力がなくなり、葉や花が育ちません。ただ軽度の根腐れの場合、すぐに枯れてしまうわけではありません。適切なタイミングで適切な量の水やりをすることで白い根が出てきます。
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(左側)白い根の健康な状態、(右側)根腐れ状態です。
- 水不足の場合は、萎れた状態になります。軽度の場合は、水分を与えると元に戻ります。
- 根の周りの土が乾いてきた時が水やりの基本です。鉢底から流れ出るまでたっぷり水をあげてください。
- 目安としては、表面の鹿沼土が少し乾いた時です。
水やりした時の状態
少し乾いてきた状態(水やりのタイミング)
乾き過ぎた状態
植え替えについて
- 根がしっかり回ったら、同じ鉢に植え替える場合は根を少し崩し、根と鉢の隙間に土を入れてください。但し、根を崩す植え替えをする場合は、必ず休眠期(1月~2月)に行ってください。
- 根を崩さない鉢増しの植替えは、年間を通して出来ます。
肥料について(当園のおすすめ肥料で紹介)
【ハイポネックスの場合】
- 希釈倍率 1,000倍(濃すぎるとトラブルの原因になります。) (100mlの水にスポイトでハイポネックス原液を4滴入れると、約1,000倍になります。)
- 7日~10日(液肥も水分なので、与えるタイミングは水やりの時に水やりの代わりに行う)に1回程度水やりと同じように与えます。成長期ではない時は控えても構いません。調子が悪い時はやらない方が良いでしょう。
- 薄めた液は使い切ってください。(薄めると不安定になり、藻が生えたり不純物が混入するためです。)
【スーパーIB肥料の場合】
- 小さじ1/2杯(3.5号鉢)~小さじ1杯(5号鉢)を月一回程度、鹿沼土の上に撒いてください。
- 苔の上に撒くと肥料焼けしますので注意してください。
土について
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当園で使用している土は、赤玉土(小粒)40%、鹿沼土(小粒)20%、培養土20%、ピートモス10%、くん炭10%のオリジナル培養土です。
- 水はけがとても良い配合にしてあります。
- 置き場所や水分・肥料など、良い環境を保つことで根は元気に育ちます。皆さんも工夫して見てください。
剪定について(関東地方の場合)
【本剪定】
- 春の開花に合わせて、2月上旬頃剪定をします。
- 本剪定とは、古い枝や病害虫で傷んだ枝を除去し、新しい枝(シュート)で株を更新します。また、外芽が出ているものを生かすように切ります。芽のない枝、交差して伸びた枝などを切り詰め、枝が伸びて花が咲いた全体像を想定しながら剪定します。
【花後の剪定】
- 咲き終わった花をその都度切り取り、一枝の全部の花が終わったら、開花枝の元1~2㎝程度残して剪定をします。
- 1ヶ月半ほどで次の開花を迎えますので、また同じ作業を繰り返します。
- 枝が込み過ぎたときは風通しを考慮し、軽く間引きをします。
【夏剪定】
- 秋の開花に合わせて、9月上旬頃剪定をします。
- 花後の剪定の途中になりますが、基本的には全ての枝に鋏を入れます。
- 剪定する箇所は、花後の剪定と同じになります。
- 全ての枝を同時に切ることにより、全体の開花時期を合わせることができます。
- 秋の花は春の花ほど沢山咲きませんが、気温が下がってきた時の花の色は濃くなり、鮮やかな色になります。
病害虫について
- 室内管理では、病害虫の発生は少ないのですが、稀にうどん粉病、アブラムシ、ハダニが発生することがあります。
- 病害虫が発生しやすい3月~11月に、月一回程度予防として薬剤を散布しましょう。
薬剤の例
- アタックワンAL
- モストップジンR
- ベニカXネクスト
など。
1種類の薬剤を使い続けると薬剤に対する抵抗力がついて効果がなくなることがあるので、数種類の薬剤を交互に使用することをお勧めします。(ローテーション散布)
うどん粉病
葉っぱの表面に白いカビが生える病気です。乾燥した時期(5月~6月、9月~11月頃)に発生しやすく、放っておくと育てている植物を弱らせてしまうので、早期発見・早期対応が大切になってきます。
アブラムシ
植物の新芽やつぼみに群生して植物の汁を吸い、育成を阻害します。さらにウィルス病を媒介するため植物にダメージを与え、大量のアブラムシに侵された植物はやがて枯れてしまいます。
発生する要因の一つに、窒素分の多い肥料を与えることが考えられます。これは与えることにより葉で合成されるアミノ酸が多くなり、このアミノ酸はアブラムが大好きなのです。
もう一つの要因に株間が狭く密植状態が考えられます。風通しを良くして植物にまんべんなく日が当たるようにしましょう。
ハダニ
3月~10月の温かい時期に発生しやすく、葉の裏に寄生して栄養を吸い取り、葉緑素を抜いて葉を真っ白にし、最終的には植物を枯らすことになるので、予防からしっかりしていきましょう。